Zipper創成メーカーTALON社が開発した『C型Top Stops(上止め)』取り付け仕様の案内 です。TALON社は1930年代半ばのC型開発時から1946年頃後継の簡略型に移行する迄の間、C型の形状、止め仕様に一切の変更を加えることが無く、また他のUS Zipメーカーに関しても、その殆どは同型又は類型の『C型 Top Stops(上止め)』を使用しました。
■ジッパー長さ調節 & Top Stop(上止め)取り付けに適した工具:
Top Stops取り付け仕様案内に先立ち作業に適した工具の紹介です。どのような作業においても工具の良し悪しで結果が左右されます。貴重な実物ジッパーの長さ調節、上止め取り付けに際し、道具の選定から始めましょう。
食い切り(4cm x 12.5cm)
金属線、針金などの切断に適した日本古来の工具。No.5、No.7、No.10、各ジッパーの務歯外しに威力を発揮する。
ニッパー(5.5cm x 15.5cm)
細い線材の切断に適した工具。No.3、No.5、ジッパーの務歯外しに使いやすい。
リードペンチ(6cm x 16cm)
先幅(4mm)、付け根幅(9mm)のHOZAN製リードペンチは『No.5 C型上止め』の締め付けに適した工具。
《TALON(オープンジッパー), C型Top Stops取り付け仕様》
Zipper左右に関し:
オープンジッパーの左右は服に付けられた状態での左右を意味します。画像で説明の際は画像での左がZipperの右にあたり、画像での右がZipperの左にあたります。逆に、止めジッパーの場合はジッパーに向かった状態での左右を、そのまま右側、左側の区別に使うことが多いようです。
1) 上止め(A)の取り付け
ニッパー、喰切り等で、Zip Teeth(務歯)を外し、右側(Box側)のジッパートップを左(ピン側)より1務歯高く仕上げた後、高く仕上げた右側(Box側)の『務歯』外し跡に上止(A)の足を差し込み、曲がりを調整した後、先幅が5-10mmのペンチで前側から軽くプレスし仮止め、次に後ろ側からテープを痛めない程度にプレスし固定して下さい。プレスする際トップの『務歯』と共にプレスするとテープを痛めず上止めを固定できます。
注)上止め(A)の足幅は『務歯』を2個外した幅と同じように設計されています。『務歯』 を2個外した跡に上止め(A)の足を差し込み固定して下さい。トップの『務歯』と上止め(A)の間には『務歯間』の間隔とほぼ同じ隙間(約1.5mm)が出来ることになります。これが実物どおりの止め方です。
2) 上止め(B)の取り付け
コの字
左側(ピン側)に使用する上止め(B)は『務歯』に接し固定して下さい。『務歯』に接し固定するには若干こつを要します。いきなり『務歯』に接し足を差し込もうとせず、ジッパートップから2番目の『務歯外し跡』に画像のように片足を差し込み固定した状態で『務歯』に接した足をテープに押し込みます。押し込む際、最初に差し込み固定した方の足を、しっかり固定しないと『務歯』と上止めの間に隙間が出来ます。可能な限り隙間が出来ないように押し込んで下さい。位置が決まり、曲がりを調整した後は、右側同様、先幅が5-10mmのペンチでテープを痛めない程度に前後からプレスし固定して下さい。トップの『務歯』と共にプレスするのは右側と同じです。
3) 上止め足締め付け調整
左右の上止めを固定した後、スライダーをトップまで上げ、下げし、上止めがスライダーに引っかからず正しくスライダー内に収まるか確認下さい。引っかかりがある場合、左画像のように正しくスライダー内に収まらない場合、足のプレス不足が考えられます。テープを痛めない程度に足を再プレスして下さい。右画像のように上止めがスライダーに収まり、スライダーがスムースに上げ下げ出来れば完成です。
《TALON(止めジッパー), C型Top Stops取り付け仕様》
海外でNon-Separatingと呼ばれる左右に分かれないジッパーの止め仕様を参考までに案内させて頂きます。 止めZipperに関してはオープンジッパーと異なりジッパーに向かった状態での左右を、そのまま右側、左側の区別に使うことが多いようです。左右の仕上がり高に関してはオープンジッパーほど確たる決めは無いようです。ここではジッパーに向かって左側を高く仕上げる仕様(実物では左高が右高より若干多いようです)で案内させて頂きます。
1) 上止め(B)の取り付け
殆どの場合、止めジッパーでは左右共に上止め(B)を使用します。長さを仕上げた後、上止め(B)を『務歯』に接し固定して下さい。取り付けの仕方は《オープンジッパーでの取り付け仕様(2)》を参照下さい。先幅が5-10mmのペンチでテープを痛めない程度にプレスし固定するのはオープンジッパーでの取り付けと同様です。
2) 上止め足締め付け調整
左右の上止めを固定した後、スライダーをトップまで上げ、下げし、上止めがスライダーに引っかからず正しくスライダー内に収まるか確認下さい。引っかかりがある場合、左画像のように正しくスライダー内に収まらない場合、足のプレス不足が考えられます。テープを痛めない程度に足を再プレスして下さい。右画像のように上止めがスライダーに収まり、スライダーがスムースに上げ下げ出来れば完成です。
■後記
紹介は、TALON社により1930年代半ば〜1946年頃製造された実物No.5ジッパーに適合する取り付け仕様です。復刻ジッパー、後年のジッパー等には適合する場合もあり、そうでない場合もあります。作業に際しては不要なジッパー又は余り部分で練習してから実際の長さ調節、上止め取り付けを行うことをお薦めいたします。



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