WWII時のROUGH OUTサービスシューズ(アンクルブーツ)で間違い易く、混同しがちなのがARMY、NAVY、MC、のそれぞれの違いである。これは多くの本等で、NAVY、MC、の物をARMYの物と混同し紹介された事からと考えられる。確かにアッパーのステッチの入り方、基本的な製靴法は3タイプともほぼ同じ事からマーキングが消えている物は見分けが付けにくいかも知れないが、ARMYの物には1912年採用された“MUNSON Last”が継続使用され、他の2種には異なったラスト(靴木型)が用いられたことから、それらの形状を子細に見れば違いは明白であり、下記に示した見分け方、その他の違いを理解していただければ以後3タイプを混同される事はなくなると考えます。
  ARMY NAVY MC
形状
“MUNSON Last”から生まれるARMY靴型の形状は、靴底を見ればわかるように、つま先から外側に大きくカーブを描き張り出した曲線が特徴であり、このカーブが多くの兵士達の賛同と賞賛を得た。
NAVY/MCの形状は上の写真からわかるようにARMYに比べ、先細りの、民間によく見られるイタリアン・カットを少し太めにしたような形である。そして靴底のステッチにも注意していただきたい。縁を一周するステッチ以外に内側にもう一本ラバーソールと本底革をジョイントさせるステッチがNAVY/MCの物に多く入る。
ラスト(靴木型) “MUNSON Last” NAVY/MC 共用 NAVY/MC 共用
ソール&ヒール
材質と仕様
天然ゴムの流し込み成型
混入物は入らず

ソールに取付釘ガイド穴あり
天然ゴムの流し込み成型
混入物は入らない物多し

ソールに取付釘ガイド穴あり
天然ゴム又は再生ゴム
MCの物は成型時に、滑り止めのためか細かくシュレッドされた綿布などが混入される物多し。このソールは CONSERVATION SOLE と呼ばれる事もある。
ヒールに取付釘ガイド穴ない物多し
ソールステッチ コバ/縁縫いのステッチのみ コバ/縁縫い意外に内側にもう1本入る物多し コバ/縁縫い意外に内側にもう1本入る物多し
マーキング
クォーター内側上部にはメーカー名、コントラクトNO.、コントラクト DATE、SPEC NO.、サイズが刻印され、中底土踏まず部分にパーツNO. サイズと共にU.S.A.の刻印あり。
クォーター内側上部にはメーカー名、サイズと共にUSNと刻印される物多し。
中底には通常サイズのみが刻印される。
クォーター内側上部にはメーカー名、サイズ、コントラクト DATE、NO. が刻印され、中底には、インスペクターの名前と共にU.S.M.C. の文字が刻印される物多し。

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